里沙からだったんだ。


それもいつもは明るく派手なメールだったのに、今日は真面目な感じだったから気になった。



《大事な話があるの。今日の2時に会えない?》



それは里沙らしくもない文。


元カノだし、よく遊んだりしたやつだから情がないわけではない。



気になった俺は会う事にしたんだ。


だけど……



俺は後悔する事になる。



それは…俺と奈々を引き裂くものだったから。







最初は里沙も普通だった。



だけど……



「話って何?」


カフェに里沙と入ると俺は里沙に聞く。


すると、急に里沙の表情が硬くなった。



すごく不安でドキドキする。




けれど、ドキドキ以前に里沙が口を開いた瞬間、俺の表情は一変する。








「……妊娠したの……」



〈ガッシャーン〉


コーヒーをこぼしてしまった。


俺は持ってきたハンカチで慌てて拭く。



妊娠………!?



俺の?


「待てよ…マジなのかよ?」


俺は里沙を見る。


だけど、嘘つくわけがない。


「……本当。産婦人科行ったもの。」



俺は言葉が出ない。



昨日、里沙と会った時は普通だった…


だけど、本当は……


「俺の……なの?」



恐る恐る口を開く。



「だから呼んだ。」



胸がすごく痛んだ。



なあ……嘘って言えよ…


嘘って………


辛くて辛くて……


俺は奈々が好き。



だけど、自分一人の都合でせっかく生まれてきた命と里沙を傷つけるのは嫌だ。



「わかった…今度、里沙の両親と話そう。」



「うん……」



そんな言葉しか出なかった。



まさか、そんな事が起きるなんて……



さっきまでの奈々との幸せからいきなりの問題。


もう……奈々に会えない。



会ったら止められなくなる。



俺は里沙を送った後、涙を流した。