家に帰る。
家は苦痛だ。
今日に限って親父がいた。
しかも、女といるらしい。
どーでもいいけど…
すると……
「悠紀帰ったのか?」
親父は若い女と出てきた。
「帰ったら悪いかよ。」
「なんだ…その口は。」
女がいるからかいつもみたいにひどく怒鳴らない。
俺がでていったらこいつは幸せだろうな。
香水をつけてカッコも派手で、女遊びが激しくて…タバコも吸う。
そんな俺はいらないんだろ?
母さんに捨てられたのは当然だ。
俺まで……
あんたがこうだから俺は……
「誰〜?武司さん。」
女が親父にべたべたしながら聞く。
「息子だよ。あ、お茶入れるな?」
再婚とか何しても別にいいよ。
関係ない。
「あんたがどうしようと関係ないし。」
「悠紀!」
親父が俺を睨む。
俺は部屋に入った。
ドアを乱暴に閉める。
うざいうざいうざいうざい………
女となんでもやってろ。
小さい頃から消えない苦しみ。
俺は生まれてよかったのかな…
幼いのに考えた事もあった。
母さんに捨てられた。
父さんは自由奔放。
俺は誰にも甘えないまま育った。
うざい親父が嫌。
それがきっかけで遊びとかもした。
親友の雅也にも苦しみは言えない。
つまんない繰り返し繰り返しの人生だ。
だけど……
奈々に会った。
奈々といると嫌な事は忘れられた。
奈々といると自分の命を大切にしようとも思える。
奈々も奈々なりに苦しみはある。
奈々はどこか俺と似た苦しみがあるようだ。
だけど、お互い一緒にいるだけでもいい。
里沙から今から出れるかメールが来てた。
だけど…むしゃくしゃしても他の女といたくなかった。
俺まで親父みたいに…
そして奈々の父親。
大人は最悪なやつばっか。


