「はい。」


奈々は薬を制服のポケットから出す。


苦しい時はいつも飲むようだ。



薬を見ると胸が痛む。


いくら元気な奈々でも…


苦しんでる。



いつ死ぬかわからない病気……



奈々の心臓悪くならないで……


手術は難しい。


だけど悪化したら手術するしかない。



奈々は今はバランスがとれてるけどどうなるかわからないなんてな。



人の命についてだとか考えた事はない。


母さんは死んだ。


去年……



親父と俺を捨てたまま消えてて…


連絡が来たのは死んだという報告。


交通事故だったらしい。


親父と葬式に出たが、俺達は泣かなかった。


いや…泣けなかった。



俺は捨てられたんだ。



親父は母さんと別れてから厳しくなった。


それがうざくて遊びまくり。



そんな俺と奈々は違すぎる。


でも……


「もう大丈夫だよ?ごめんね?」


「ああ。」



好きは消えない。



「ねぇ!あれ面白そう!」


「えっ?」


「行こう?」


「ああ。」


今日は普通の男子高生な気分。


普通のデートとかなかったから。


つか、これデート??


「悠紀〜」


「はいはい!」


でも…いいな〜こういうの。









「悠紀〜あれとって!」


奈々はうさぎのキャラクターのぬいぐるみのUFOキャッチャーを見て言う。


「よっしゃ。やるか〜」





「あれやりたい!」



「あのゲーム今人気だよ?やろ!」


自分から誘ったのに俺は奈々に振り回されまくり。



「奈々〜」


「悠紀早く!」


あいつ…病気あるやつに見えない…


元気……


だけど、楽しいからいいか。






「あ〜疲れた…」


俺は少し休みタバコを吸う。


すると…


「悠紀…タバコ吸うんだ…」


奈々は俺を見る。