「奈々のうまそ…」
奈々のは卵焼きやらウィンナーやらかわいらしく美味しそうなもの。
俺は男の料理だから…
「あげるよ。悠紀のもちょうだい?私、お腹空いた…」
「はいよ♪奈々は食わしてくれるかな?」
「バカ。自分でだよ〜」
奈々とこうしていられる時間が1番癒し。
ああ…俺には癒しはなかったのかな。
遊びも家族関係もみんなテキトーで学校も…
生きてる意味とかわからなかった。
楽しい…幸せも。
奈々のおかげで俺は…
「奈々の卵焼きもーらい♪」
「こげたのに〜」
「いいの!奈々のなら。」
俺は奈々の作った卵焼きを口に入れる。
「うまい〜奈々が弁当毎日作ってくれればいいのに…」
「大変なんだよ?」
「えっ?俺、テキトー…」
「ひどいし…」
奈々は笑う。
「でも美味いよ?」
「じゃあ食べる…」
奈々は俺のおかずを少し食べる。
「ん…おいひ…」
「おいひって…」
「悠紀がモテる理由はここもかな?」
「いや、女に食わせないし普通は。」
すると…
「じゃあ奈々が1番!?」
「そうかな…」
「やった…悠紀も私の1番だよ?」
「ああ。」
いちいちかわいく反応するんだから…
奈々は。
「なんか嬉しいな。」
こんなかわいいとやばいし。
俺は女を惚れさせる立場だった。
なのに今は逆転?
「あ、奈々のそれもうまそ〜口移しで食べさせてよ♪」
俺は奈々をからかう。
すると…
「悠紀変態…」
奈々は俺を見て言う。
でも顔に出るから奈々はいいな…
「奈々〜」
「悠紀がいけないんだよ?」
「はいはい。」
でも、奈々の笑顔を独り占めできる男は俺だけ。
それは幸せな事だろう。
なぁ…奈々。
出会わなかったらどうなってたかな?俺ら……


