「悠紀君…?」


「男の俺じゃだめな時は…由美さんも奈々を救って下さい…」


「悠紀君…」


「あんな夢…さっさと忘れてやる。」



いつもは夢なんかすぐに忘れるのに…



君の事だと


忘れない…


あんな夢が頭に残ってるという事だけでいらつく。



消えてくれよ……



あんな残酷なストーリーなんかいらない



最後まで君といたいのに……


あの教会も


あの約束も


みんなみんな夢みたいになかった事になるのは嫌だ……



傷つけるのは俺だけにしとけよ……



奈々より早く死ねたら俺はいい。


それでお婆さんの奈々は俺より少し長く生きて…


最後まで幸せでいて欲しい。


それがいい人生なはずだ…


誰かのために自分を犠牲にする事はできるよ…俺なら



奈々がいなくなるのは嫌だ…


俺には将来どんな仕事がしたいかとかこれといったものはない。


でも



何かできるよな…



夢ばっか気にしちゃうなんてさ…


馬鹿だよな……



すると


「悠紀。やっと起きたか。早く用意しろ。」


「親父…」



「悠紀君待ってるわよ?奈々ちゃん。昼には手術らしいから…」


「ああ…」



すごく会いたくなって来た。


あんな夢のせい……


多分俺奈々に会ったらやばい。



絶対に決めておこう。


奈々の前では泣かない。


いつでも笑顔。



あ、そうだ…


「由美さん、なんかフェルトとかある?」










全ての用意をして車に乗る。


車の後ろで俺は作る。


もう一つのお守り。


手づくり。



奈々が作った人形よりは上手く作れる俺の人形!


手先は不器用な方ではないので早く作る。


前の席では親父と由美さんが話してる。


二人が再婚式は奈々が治って退院してからと言ってくれた。


だから奈々と再婚式に行くために俺も頑張るよ。