「奈々!?」


「すみません…」



病室に入ったら奈々の叔父さんと叔母さんに親父と由美さんがいた。


やべぇ……


「悠紀君!うちの娘は病気なのよ?」


げっ……


殴られる!?


俺は瞳を閉じる。


すると


「私が悪いのっ!」


奈々が俺をかばう。


奈々……


「奈々……?」


「私がわがまま言ったの……悠紀は全然悪くないから…」



「奈々……」


奈々を俺は降ろす。


「お願いだから…誰も悠紀を殴らないで…殴るのは私で…」


奈々は涙を流す。


…奈々…


「奈々は殴れない…仕方ないわね…今日は。もう絶対やめてね?奈々の体に何かあったら…」


「縛られたくなかったの。」


奈々は叔母さんを真っ直ぐ見つめて言う。




「悠紀が助かって安心した…だから、ただ病院にいるだけがやだったの…」


「分かった…でも明日からはね?」


「はい…」


「ほら、パジャマ着替えなきゃね。」



奈々は…


辛いんだよな


寂しいのかな


デートの時、病院では見せない表情をしてたから……



いつでも奈々には笑って欲しい……



「悠紀君ごめんなさいね…あ、悠紀君…もう退院できるらしいわよ?」


「え?はい…わかりました。」


「悠紀バイバイ…」


奈々は俺を見て手を振る。


そんな奈々の表情は寂し気に見えた。


「……またな?」


俺が言うと奈々は笑った。



明日…病院か…


夏休み。やっと奈々といっぱい遊べた。



今日はいい日だ……








退院手続きをして、帰りにみんなで夕飯を食べて行くと家に向かう。


だけど


「親父、由美さん。先帰ってて?寄る所ある…」


「平気か?」


「うん。そんな長くならないから。」


「そうか。じゃあな…」


親父らが車で行くと俺は駅に向かう。


海に宝物を埋めに行く……