「なんだよ〜サメのがおかしいから。」
「え〜?」
「今日はさ、いっぱい遊ぼうよ?」
「いい…の?」
「俺、多分もうすぐ退院。離れたくないし。」
「そうだよね!」
奈々は笑って言った。
その後は二人で水族館に行って、ご飯食べて…
普通のデートだった。
水族館を出ると奈々が帰る前にどうしても観覧車に乗りたいと言い出した。
「悠紀〜何色がいい?」
観覧車に乗るために俺らは並ぶ。
カップル多いな…
「悠紀〜?」
「ん?」
「何色乗りたいの?」
「ん?なんでもいいし。」
「奈々はね〜スケルトン!」
「え?怖くないか?」
「乗りたいの〜」
「だーめ。心臓に悪い。怖くて…」
「それは悠紀だよ?」
「違うし!」
「悠紀かわいい〜びびり!」
「お前な〜」
俺は呆れる。
すると
「次の方〜どうぞ?」
係員に言われ、俺らは観覧車に乗る。
「あ、ピンクだ〜私の好きな色!」
「よかったな。」
俺の向かいに奈々は座る。
「観覧車、実は初めてなんだ…」
「え!?」
「遊園地、行けないでしょ?だから…」
「俺は小さい頃以来だな…」
親父と母さんの三人。
あの時は離婚が近づいてた。
家族三人で出かけた最後の思い出。
俺ばっか窓の外を見てははしゃいでた…
「あ、あそこさっきの水族館!」
「あ、本当だ…」
「綺麗〜」
奈々は窓の外を見つめる。
夕焼けが俺らを包み込む。
景色よりも奈々は綺麗に見えた。
俺も景色をただ見る。
だんだん人が小さくなる。
さっきいた場所。
さっき見た物はみんな小さくなっていく…
すると
「悠紀!こっち見て?」
「え?」
〈パシャッ〉
奈々は俺をカメラで撮る。


