「長所?」
俺は自分のキャップを奈々に被せる。
「熱中症になったら困るからこれ被ってろ。」
「うん…」
俺らは家を出た。
「水族館行くか。あと、かき氷!奈々好き?」
「うん!私いちご派〜悠紀は?」
「ブルーハワイ!」
俺らは子供みたいにはしゃぐ。
昔は子供らしくないかわいくない子供だったけど
今は子供らしくなるし。
だって奈々がいるから…
「あ、スイカ割りしたい〜」
「二人じゃ盛り上がれないよ。」
「じゃあ…誰か呼ん…」
「それはだめ。病院抜け出したんだし…二人きりがいい…」
「そうでした。うん。奈々も悠紀と二人きりが好きだ。」
奈々は俺の手をぎゅっと握る。
「そうだ…悠紀。一年後のタイムカプセル?悠紀もあそこに入れてね。私のは見たらだめだよ?」
「わかった。じゃあ…夜にでも埋めて来るか。」
「楽しみ〜」
「一年か…来年は俺も就職で弟か妹ができてるんだよな。」
「弟だったら悠紀に似ちゃう〜妹だったらいいよ。」
「奈々みたいなのだったら困るけどな。」
「え〜」
…子供か…
俺はいい父親になりたいな…
今の親父みたいにさ…
でも
「奈々が母親になれるわけないか…本人が赤ちゃんみたいだし…」
「ひど〜悠紀が父親だったら子供ぐれるよ?」
「いやいや、俺はいい父親になる!」
「え〜」
「奈々次第だな。いつどうなるか。」
だけど
「その前に病気。治さないとだめだよ。」
「心配するな。あ、そうだ…」
「え?」
俺は思い付くとまた奈々の手を引きある場所に向かう。
「悠紀〜?」
「水族館の前に行きたい所ある。」
俺が言うと奈々はきょとんとした表情で俺を見ていた。


