ただ君の側にいたいのに…
なんで
こんなに切なく苦しいんだろう
たまに胸が痛むんだろう…
でも
もし君の心が傷つくなら俺が代わりにぼろぼろになってやりたいから。
我慢も傷つく事も慣れてる……
シャワーを軽く浴びる。
事故の傷まだ残ってる…
でも
傷を指でなぞる。
こんな傷なんて奈々の痛みに比べたらたいしたことない。
大丈夫大丈夫…
俺は風呂から上がると半袖のTシャツにパンツにタオルを肩にかけリビングに向かう。
奈々何してんだろ…
リビングに行くと奈々は音楽を聴いてる。
やっぱり痩せた?
奈々の背中は細いしか弱そう……
ちゃんと食べてるのかな?
病気悪くなってないよな?
俺は奈々を後ろから抱きしめる。
シャンプーの香りがまだ奈々の髪には残っている。
「ゆ、悠紀?」
奈々はイヤフォンを外し顔を真っ赤にする。
「落ち着くし…」
「ゆ、悠紀…」
「奈々のシャンプーの匂いとかに誘われる…」
「…………っ」
奈々は黙り込む…
「あれ?いつもの元気は?かわいいとやばいっすよ?」
「悠紀ぃ……」
夏は好きじゃない。
暑いから。
冬は温もりがよく感じられて…
くっついていたくなる。
「悠紀…髪乾かして?風邪引くよ?」
病人さんが俺を心配。
奈々は俺のが大切なの?
「いいもん〜奈々にうつすから♪」
「悠紀がそんな言い方するとおかしい〜」
「奈々ちゃんのマネ♪」
「似てない〜」
でも
「冬のがいいな…悠紀にくっついてられる。私が悠紀を温められるから。手づくりマフラーで。それにバレンタインに誕生日にあるし…あと…」
奈々はいつも温めてくれるよ。
俺の冷めた心を…
温め癒すんだ…
「じゃあ今から夏の長所も探そう?」
でも俺は君の手をいつでも引くから。


