「奈々はいるだけでいい。寝たきりでもよれよれな婆さんになっても…俺は離れないぜ?」
「本当に?でも…」
「奈々だって…俺が意識無い時いただろ?同じだよ。側にいて俺を好きなままならいいよ。」
そう言うと俺は奈々の頭をクシャッとする。
「う…悠紀ぃ……」
「どうした〜?奈々。心配しすぎ。そんな素直に言われると俺危険っすよ?」
俺は笑って言う。
「だって…悠紀がいなくなるって夢見たから…」
「え……?」
「昨日そんな夢見て…不安になって…」
「本当、夢に惑わされすぎ。前も怖いとか言って寝れなかったっけ?」
「悠紀は無いわけ?」
「ん?俺は夢なんて忘れるし。」
「いいな…」
「正夢なんてないよ?なんかに襲われる夢見ても実際は無いだろ?」
「悠紀にそのうち襲われ…」
「は?俺はそんな危険かよ?」
「うん。」
「なんだよ〜」
でも
こっそり病院抜け出しただけだけど駆け落ちみたい……
つか、このままずっといられる程幸せなものはないのに。
叶ってくれないかな…
奈々の病気が治ってまた学校の休み時間に雑談して、たまに一緒に帰って…
休みの日は二人で映画見たり買い物したり…
来年は俺が就職して奈々が高校三年生で卒業に向かう。
再来年にやっと奈々も卒業して大人でやっと入籍。
そんなに長い…
もし、奈々の入院が無かったら……
もし、俺がもっと早く奈々に会ってもっと長く付き合ってたら…
時間の大切さ長さなんか気にならなかったはずだ。
でも
現実なんてそんなもの。
時間に時々離される…
時間に惑わされる…
「悠紀、大丈夫だよ?私、病気なんかへっちゃら。」
「奈々ちん…?」
「い、いいよ。しても。」
「え?無理したら…」
「お願い…」
「え…」
苦しみと短い時間なんかより
大切なのは…
欲しいのは…
君と長い時間…生活。


