お願いだから
不安にさせないで……
大丈夫って言いながら彼女はいつも寂し気な顔をするんだ……
「悠紀〜病室離れるのやだよ〜」
「お前、怒られるよ?また看護師さんに。」
「いいの〜」
「全く……」
すると
「悠紀…もし奈々が悠紀から離れたらどうする?」
「えっ……」
「前、悠紀も離れたでしょ?悠紀ならどうするのかなって……」
「ん?俺は見つかるまで何度も何度も探すし。俺、あきらめ悪いよ?」
「悠紀…」
「奈々は待ってたよな?でも俺の場合は奈々を絶対取り戻すから。」
「嫌ってたら?」
「泣くな。」
「あはは…よかった。なら…私、絶対悠紀嫌いにならないよ?」
「嫌われたら困るっすよ。」
「私も困るっす。」
奈々はさらさらの長い髪をいじりながら言う。
もしあの日…一目惚れしてなかったら…
もしあの日…声をかけてなかったら…
もしあの日…電話で呼び出さなければ…
俺らはきっとこうならなかったよな…
「なぁ、奈々はさ…運命とか分かる?」
「何〜?急に…」
だけど奈々は笑いながらも考えてるよう。
「……奈々ちん?」
「あ!わかった〜」
「はい?」
「私、運命とかよく分からないけどね…悠紀とはそうだって信じたい。だってね…なんかそう感じるから…」
「なんだよそれ。」
でも
奈々の言う通りなのかも……
「運命は続くものだと思うな…」
奈々はにっこりと笑う。
「くさいセリフ言って…」
「悠紀が聞いたからだよ〜」
でも
嬉しい……
奈々にそう言われると安心する……
離れてもお互い全く気持ちは薄れなかった。
最初で最後の恋は君だ…
そう言いたい……
爺さんになっても…
気持ちは変わらないでいたいんだな……


