俺は奈々に弱い所や不安な表情を見せてはいけない。



そうだよな…?


もう離さないから…


そう決めた……


いろいろな事があったけど…


俺はずっとずっと奈々だけだって……


そう決めてる……


世界で一番幸せにしたいのは…


奈々…


お前だけなんだよ……









駅に向かう。


………あ……


そうだ。



もう夕方。


でも……少し寄り道して行こう。









電車に乗り病院のある駅から一駅の場所に降りる。



それは…あの海がある駅。



あの教会も待ち合わせした公園もある駅……



男一人旅みたいだし…


俺はケータイを開く。


あ……


いつもの癖。


別れた後は必ず奈々からメールが来るからつい確認しちゃったじゃん…


でも



時間…大丈夫みたいだな。


よし……


俺はある場所に向かう。









風が気持ちいい…


夏の夕方の海だからかまだ人はいる。


でも



「奈々とまた来たいなぁ…」


俺はケータイを取り出す。



〈パシャ〉



ケータイがシャッター音を鳴らす。


夕方の綺麗な海。


あ、そうだ……


海に来れなくても…



小さなかわいらしい貝殻を拾う。


貝殻は耳に近づければ波の音がする。


俺はどうしてなのか小さい頃から気になった。


でも今はまだわからなくても…


奈々のためにはいい物だ…


喜ぶかな…


明日持って行こう。


周りを見ると小さな子供達がまだ遊んだり、家族連れが楽しそうにいたり…


俺にはそんな思い出なんかない。


でも


奈々となら作ってけるかな?


ただ…綺麗な夕焼けが俺を包みこむ。


また来れるかな…奈々と。


流れ星とか願う道具が無くても俺は祈る。


キラキラした君との未来を…