…次の日の朝…
「いってきまーす…」
「いってらっしゃい♪」
奈々は一緒に暮らしてる叔母さんに見送られ家を出た。
今日も園芸委員。
一週間ある。
お父さんは変わらず女ったらしだったり借金したり。
だから、叔父さんと叔母さんとお母さんが死んでから暮らしてる。
子供がいなかった二人にとっては奈々は本当の娘に近かった。
そして、奈々も両親のように二人を慕っていた。
「…あ〜寒い…」
今は11月下旬。
奈々はマフラーを首に巻く。
毎朝早起きは大変だ。
奈々は走って学校に向かった。
学校に着くとジョーロに水をくみ、花に水やり。
すると……
「林奈々さん♪」
後ろから聞き慣れた声。
奈々は振り向く。
……悠紀だ…
「……悠紀…?」
「昨日はごめん…これっ。」
悠紀は奈々に小さな紙袋を差し出す。
「えっ?悠紀…あの…」
「今日…誕生日だろ?」
「そうだった…」
「俺からは嫌だよな。でも受け取って。俺…奈々は遊びじゃないから。」
そう言うと悠紀は奈々に小さな紙袋を渡して二年の昇降口に向かう。
「………あ、悠紀っ…あの…」
奈々が呼び止めようとしたが、悠紀は離れた。
奈々は仕方なく紙袋を開ける。
すると…
「えっ……かわいい…」
それは悠紀らしくないもの。
かわいらしい犬のぬいぐるみ。
「私…ひどい事言っちゃった…」
奈々は嬉しくてぎゅっとマスコットを持つ。
奈々の目からは涙が流れた。
…やべ…だめかな…
悠紀は何も知らず、ただ教室で一人不安げ。
俺はいつも女に指輪だとかアクセくらいしかあげなかった。
なのに笑っちゃうし。