「着いたぞ。」


眠ってしまってた俺に親父が言う。


いけないいけない…




「車止めてくるから先行ってろ?」


「ああ…」


俺だけ花束を持ち車から降り、病院に行く。




奈々…どうしてるかな……










林奈々と書かれたプレートが貼ってある病室に入る。



〈ガラッ〉



…あ……



「悠紀〜」



奈々だけだ。


「あれ?叔母さんらは?」


「ん?先生とお話してる…」


「そうか?はい、花束。」



「わ、きれい〜いい香り!」



奈々は花束を見つめる。



「花瓶あるかな…」


すると



奈々は俺の腕をつかむ。


「後でね?」


「ああ…」


奈々は自分の髪を直す。


さらさらの長いストレートヘアー。


奈々はいつ見てもかわいいな……


って俺!



「悠紀と二人きりの時間もっと欲しいな…」




「ん〜じゃあ奈々連れ出しちゃおうかな…」


「ばーか…」


奈々は笑って言う。



「もう少ししたら親父らも来るだろ。」


「……そっかぁ…」



「奈々どうした?」


「いや…だって…」



奈々は急に涙を流す。


「な、奈々っ!?」


「やだよ…なんで私なの…」



奈々……


「悠紀との約束守りたいのに……」


「大丈夫だよ。俺が支えるし。」


俺は奈々を優しく抱きしめる。



「叔母さんらには言えないよ。こんな事…」



「俺には言えるんだ?」


「悠紀には素直になれやすいもん。」



すると


〈ガラッ〉


「悠紀〜」



俺は慌てて奈々を離す。


いきなり親父らが入って来たから。


奈々は涙を慌てて隠した。