「じゃあ俺は車出して来るな。」
俺が朝飯を終えると親父が言った。
「奈々ちゃんどこにいるの?」
「H大学病院です。」
「そんなところに…」
「俺もまさかあんな悪いとは…」
由美さんと話しながら玄関に向かう。
「辛いわね。きっと…」
「はい…あいつが無理してないか不安で…俺だめだなぁって…つい。」
「仕方ないわ。あなたもまだ18よ?あなたが無理したら彼女も辛いわ。」
「そうですよね…」
「側にいるだけでいいのよ。」
「由美さん…」
「あなたは優しいし。大丈夫よ。」
「……はい。」
俺も子供は子供……
自分の無力さにたまに失望する。
それでも側にいたいんだ…
何かできてるかなぁって……
家を出ると親父が車をまわしてきた。
「悠紀君後ろでいい?」
「ああ…はい。」
俺は後ろの席に座る。
かばんには奈々のケータイと自分のケータイと本と財布くらい。
………あ……
「親父。途中、花屋寄っていい?」
「お見舞いか。」
「ああ…」
「じゃあ駅前の花屋がいいんじゃないかしら。」
「はい…」
奈々に早く会いたいな…
つか、いっぱい会いたいよな。
二人きりは今日は無理だけど……
「……そこで止めて?俺買ってくる。」
花屋に近い所に止めてもらうと俺は財布を持って花屋に行った。
「じゃあ…これ下さい。」
ピンクの配色が多い奈々の好きそうな小さな花束をすぐに選ぶ。
「ありがとうございました〜」
買うとすぐに車に戻る。
「いいじゃない。かわいらしいわよ?」
車に乗ると由美さんに褒められて安心できた。
奈々と…
話したいな……………
いっぱいいっぱい……