「ああ…なんか前から会いたがってたからな。」


「楽しみだなぁ…あ、柚にメールしなきゃ。心配してるかも。」



「あ〜雅也から聞いてるかもな…あ、俺も礼に…」



「礼さん?礼さんなら悠紀が電話してる間メールした…」


「行動早いな…」


「へへへ。」



奈々はケータイを開く。


すると



「林さん?ケータイ…病院内禁止よ?」



………看護師さんがいきなり入ってきた。



「え?そうでしたっけ…」


「じゃあこれはあたしが預かるから…」


看護師さんは奈々からケータイを取り上げる。



「え?悠紀はいいんですか?」



「彼?彼はマナーにしてるし…患者じゃないからねぇ…」



「え〜」


俺は笑う。



「ケータイ…」


「後で彼に返してもらうわよ。退院まで我慢ね?」


「うぅ……」


看護師さんが出て行くと奈々は布団に入る。



「奈々〜当たり前だろ?入院したらさ。」



「じゃあ…どうやって悠紀と連絡とれば?」



「いらないだろ?俺、毎日来るし…」


「本当?でも…」


「大丈夫だって。家からそんな離れてないし…」


「じゃあ待ってる。」


「ああ。」


すると奈々は手鏡を出す。



「顔…大丈夫かな…」


奈々は不安そうに鏡を見ながら聞く。



「そんな事ないよ?」


奈々は不安なのかな…


「お風呂入れないのかな?寝癖大丈夫かな…」


「心配しすぎじゃね?大丈夫だよ。奈々は奈々。」


「だって…」



「俺だって今ひどいかも。奈々と同じく風呂入ってないし。寝癖も心配。」


「そうだよね…」


「心配性さん。」



すると…



〈ガラッ!〉



「奈々!」



奈々の叔母さんが慌てて病室に入ってきた。


その後ろには奈々の叔父さん。


「叔母さ…」


叔母さんは奈々を抱きしめた。


「心配かけて!」


本当の親子みたいだった。