俺に今日はなぜか甘えてくる。
「奈々…俺…」
「悠紀は心配性だな〜」
「えっ?」
「さっきから辛そうだよ?私、悠紀に甘えたい気分なだけだよ〜?」
奈々……
大丈夫だよな?本当に…
俺は奈々の手をぎゅっと握る。
すると奈々もぎゅっと握り返した。
「…悠紀の手…ずっと握ってたいよ…」
奈々は寂し気に言う。
「ずっと?そしたら風呂入る時も…」
「悠紀の変態〜」
「奈々だろ?変態は〜」
いつもの元気に戻る俺。
俺は男としてまだまだかもな。
奈々を守れるやつになりたい……
「明日、俺友達にいいバイトあるか聞いてみるよ?」
「じゃあ旅行…」
「うん。行こうな。絶対。」
「うん…」
「奈々?」
「病気…大丈夫かな…」
「大丈夫だよ。俺が祈る!」
「え〜」
「俺らは絆硬いんだからな?病気なんかに負けるかよ。」
「うん!大丈夫だよね!」
奈々は笑う。
ん?もしかして…
「不安…だったのか?」
「え?」
「俺に甘えてたの…」
「うん………」
俺は奈々を抱きしめる。
「大丈夫だからな?奈々は負けない。」
「うん…」
奈々は生まれた時からずっと苦しんだ……
だからもうやめてくれよ。
奈々を不安にさせたくない……
誰も傷つけないで…
「ごめんな。俺…こんなんで。」
「ううん…平気。悠紀がいなかったら私…怖い。」
「奈々…」
「悠紀にすごく奈々は感謝してます。」
感謝かぁ……
「悠紀…家大丈夫?」
「あ〜」
俺は慌てて奈々を離す。
「ごめんね…私のせいだよね。」
「平気だよ。奈々のためならさ。行こう?」
俺は笑う。
「うん…」
だけど俺らには嫌な胸さわぎがしていた。


