「奈々の父親…?」
俺は柚ちゃんに聞いた。
「ああ…女ったらしだったらしいですね。奈々のお母さん病気で苦しんでるのにほっといて…遊んで。」
「それで?」
「死んだんですよ。奈々が小3の時に。手術代…払えなかったの。お父さんが借金したりして…」
「…………。」
悠紀もお父さんと同じ。
奈々はそういう意味で…
「奈々が男苦手なのは、お父さんの事や…昔、男に乱暴されたからなんです。」
「えっ………?」
「信じるの怖いのかな…って」
「…………。」
……奈々…ごめん。
俺…本当は仲良くしていたいのに……
「……なんかあったんですか?」
「あのさ…柚ちゃん…なんか奈々を喜ばせる事ある?」
「えっ………?」
……奈々に嫌と言われたとたんすごくショックだった。
まだ間に合うなら嫌われたくない。
「……そういえば、奈々…明日誕生日ですよ。」
「………えっ?」
………誕生日……
奈々の喜ぶ事。
…放課後…
「…悠紀〜?今日、クラブ行く?」
「悪い!無理!」
「えっ?珍しい…毎日なのに…」
「わり……」
……奈々に言われてから行く気になれなくなったわけじゃない。
だけど…明日…奈々の誕生日と知ったらな…
「なぁ〜悠紀〜俺、奈々ちゃんにアタックしようかな?」
「今更かよ〜」
「えっ?お前もしや…」
「俺が負けるわけないだろ?」
俺は笑って言った。
クラブに行かないのは久しぶり。
なんか変な感じだ。
《悠紀〜来ないの?寂しい〜》
里沙から来ていたが返信せず俺は家に帰る。
着替えて、奈々へのプレゼントを考えよう。
お願いだから…嫌うな。
離れるなよ……
俺………やだよ。


