「俺がやるから。」
「え〜?」
「奈々は見てて。」
「はいはい〜」
奈々はソファーに座りケータイを開く。
俺は用意を黙って続ける。
すると
「やっぱ暇だよぉ〜」
奈々は俺の隣に来る。
困った子供だな〜
「はいはい。じゃあ…話しながらやるよ。」
「本当!?」
「ああ…」
すると奈々は笑う。
「ね、悠紀。悠紀はさ…今欲しいものってある?」
「え?」
「なんか気になって…」
俺は……
「バーカ。奈々いるし。今は欲しいもんあるわけないよ。」
「………えっ?」
俺は料理を続ける。
「奈々は?」
「私は…元気な体かな…」
「…………奈々。」
「今も元気だけど走れないのは相変わらずだし…」
「…走りたいのか?」
「うん。悠紀と走ってみたい!悠紀速いよね…走るの。」
「ん?そうかな…」
「うん!柚と言ってたの。」
「奈々は手術しなきゃ走れないんだよな?」
難しい手術らしい…
「でも…願いだから…」
奈々は淋し気に言う。
奈々…
「大丈夫だよ。奈々なら。」
「うん。」
病気なんてなった事ない。
でももし俺が奈々だったらそれに耐えるのは辛くて……
だから奈々は弱くない。
強いのかもな。
「明日もさ、どっか行く?」
「うん!映画とか…」
「映画か〜ホラー?」
「絶対拒否!」
「あはは。」
毎年二人でいろんな所生きたいなぁ…
それで一緒に泣いたり笑ったり……
それが普通の幸せだと俺は思う。
「できたぞ!」
「あ、やった〜オムライスだ♪」
奈々はできるとはしゃいだ。


