「よ、お嬢ちゃん、丁度暇してたとこだ。ひとつお相手願おうか」



低く甘い坂本の声が美留久に向けられた。


「ダンマリかよ。返事をする価値もないってか」

「いえ、坂本さん、今ミルクはそれどころじゃなくて……」

「てめぇになんぞ聞いてねぇ。俺はこのお嬢ちゃんに聞いてんだよ」


「だから、坂本さん……、ウッ、グフッ、ググッ」


坂本の膝が、水谷のミゾオチに食い込んだ。


「俺に口答えしようなんぞ、十年早いわ。思い知れ」


水谷は膝からあっけなく崩れ落ちた。


「ほぉ、嬢ちゃん、震えてるじゃねぇか」


「だ、だ、からみずたにさん……、グッ……」


今度は坂本の足が容赦なく水谷を蹴り上げた。


「相手って言ってもなぁ、いろいろあんだよ」


坂本は美留久の身体を抱え、担ぎ上げた。