きみといつまでもいたい


美留久は、聖夜の代わりに戦う気満々だった。

彼女は前に一歩進み出て、聖夜の代わりに売られた喧嘩を買って出た。

身体は小さくても、美留久は合気道の有段者だったし。

身体が大きくて強そうに見えても、聖夜の身体の中にはまだいくつものボルトが埋め込まれ、それを覆う筋肉がまだ十分には発達していなかった。

激しい運動は医師に止められていた。

ましてや喧嘩なんて、命取りになる可能性だってあった。

美留久は、自分の身を省みず、聖夜の身を守ることに必死だった。


死なせてたまるもんですかっ!


聖夜の為に戦う美留久は、確かに強かった。


「いゃあぁぁ~っ!!!」


居合いと共に投げ飛ばされた巨体が折り重なった。


「もう、あたし達に構わないで」


美留久が必死になればなる程、男達は納得がいかなかった。

美留久は勝つことで、彼らのプライドをも踏みにじってしまったのだ。


負のスパイラルが始まっていた。


何をどうすれば事態が好転するのか、美留久にも聖夜にもわからなかった。


自分がここに居ることで、美留久の人生をも狂わせる。

聖夜の闇は、開ける扉の見つからない悪夢の中。


もがけばもがくほど、闇は深くなるばかりだった。