きみといつまでもいたい




樹は公会堂近くの交差点の事故の惨状を、坂の上から眺めていた。



そこには不安が現実となった地獄絵が広がっていた。

もうすでに道路は封鎖され、救急車と消防車が何台も通りを塞いでいた。

交差点中央には、燻されたように黒く焼け焦げた車の残骸と、黒く煤をあげて舞い上がる煙。



(ここでじっと眺めている訳にはいかない)



樹は震える心を奮い立たせ、車を離れて、転がるように坂を駆け下りた。



(どうか無事で……)



祈りにも近い叫びを、心の中で唱えながら……