(愛する人が見つかるって、素敵なことだもの)
ジョセフィーヌが見つめる熱い眼差しの先で、彼の顔が急に険しくなった。
「おかしい……、ブレーキが効かない……」
それは、まさに、下り坂の交差点に差し掛かった時だった。
街の公会堂は、その交差点の先。
もう目の前に見えていた。
「聖夜! シートベルトを外して、座席の下に潜るんだ、早く!」
大樹が大声で叫んだ。
「ジョゼ……、愛してる……」
それは本当に一瞬の出来事で、大樹はジョセフィーヌの右手を掴むと、それと一緒にサイドブレーキを力任せに引いた。
最後の賭けだった。
目の前の信号は赤。
三人を乗せた車は、車の行きかう交差点に突っ込んだ。



