「僕はミルクが大好きでした。

確かに十二歳の子供だったけど、あの気持ちは、多分、好きを通り越して、愛に近かった。

大げさじゃなく。

自分の全てより、ミルクが大事だった。

そんなの子供の戯言だ、って言われればそれまでだけど。

ミルクの喜ぶ顔や笑った顔、それが見れるんだったら何でもしてやろうって、僕はいつもそんなことを考えてました」


「君はあの事故で、確かに大切な両親を失った。

けれど、何故、そんなに大好きだった美留久ちゃんを心から締め出さなくてはならなかったのかな?」


「それは……」


「君は今でも美留久ちゃんのことを……」

「好きです。

たぶん、自分で考えるよりずっと愛しているんだと思います。

誓いの言葉が僕を縛っている訳ではありませんよ。

僕の心が美留久を求めているのです。


この命ある限り、彼女を愛し続けたい……」