「ちょっと、派手すぎじゃない?」
やっとのことで聖夜は一言そう言った。
「そうかな、でも、この色が気に入ったの。大人っぽいでしょ。
もう、あたし、子供じゃないし」
そう言って少し脹れて見せた美留久は、どう見ても自分と同じ十二歳の子供である筈だったのだけれど。
美留久の口はきっぱりとそれを否定した。
「子供の演奏には興味はないの。
あたしは、一人前の大人として見てもらいたいのよ」
その美しい横顔は自信に満ち溢れていた。
「ミルク、そんなに早く大人にならないでよ……」
聖夜は思わず呟いた。
輝く美留久の顔が、真っ直ぐに見れなかった。



