聖夜が踵を返し、部屋を跡にしようとした時だった。
「セイ、丁度良かった。これ、明日のドレス。セイに見せようと思って」
部屋から顔を出した美留久はそう言った。
「でも……、美留久、ごめん!」
「まぁ、レディの部屋に入る時は、ノックくらいは常識だけど。
セイだから許す。
ねぇ、それより見て!」
ピアノの前で、くるりと回って見せた美留久は、普段とは違う、まるでお伽の国のお姫様のようだった。
多分それはドレスのせい。
少し濃い目のピンクが、美留久の白い肌をいっそう引き立てていた。
膝下のふっくりと広がったカクテルドレス。
大きく開いた肩と胸元は、眩しいばかりで、聖夜は思わず目を伏せた。



