その紙には、少し斜めになった聖夜独特の癖字が書かれていた。 (見た目は変わっても、字は変わらないんだ……) フッ……と、美留久の中に懐かしさが込み上げてきて、心が温かくなった。 「セイ……」 もう一度、聖夜の名を呼んで、美留久は少しだけ顔を上げた。 けれど…… 見上げた鏡の中に、聖夜の姿はもう無かった。