「だが、君が本当に美留久ちゃんを支えたいと願うなら、彼女の心の状態を理解できなくては駄目だ。 それは共感することとは少し違う。 むしろ共感は理解の邪魔になる。 実際に苦しんでいるのは美留久ちゃんであって、君じゃない。 君はその理解の上に立ち、自分の行動を選択する必要がある」 確かに、ジャックの言うことは尤もだ、と聖夜は思った。 何故なら、日本でのあの日々が共感そのものでしかなかったから。 共に慰め合い、苦しみを探り合った。 あの日々の中に、希望はなかったのだから。