「今となっては誰を恨む気持ちも湧いてこない。 それは美留久も同じじゃないかな? 彼女はとても強くて、優しい心の持ち主だったから、人を恨むよりは、自分を責める方がた易かったのだと思う。 あぁ、僕はいったい何を遠回りしていたんだろう。 そんな彼女の優しさを一番わかっていたのは僕だった筈なのに」 聖夜は一人、この遠く離れた地で、彼女を想う事にいてもたってもいられなかった。 一時でも早く、彼女の傍にいて、彼女の笑顔を取り戻したい。 逸る思いに急きたてられていた。