そんな時、私の複雑な心境を察してか、水谷君が私に教えてくれたのです。

事故の後、美留久は水谷君の前でしか君の話をしなかった。

何故なら、あの事故と聖夜くんを結びつけ、私達家族が心配すると思っていたからです。

でも、美留久が笑うのは、二人で聖夜くん、君の話をしている時なのだと。

美留久にとって君は、事故の記憶と結びつく存在ではなく、生きる希望であるのだと。

それを聞いて、私は美留久に君の帰国を告げる決心をしました。


知らせを聞いて、美留久は最初、少し戸惑っているように見えました。

が、今は落ち着いて、彼女なりに君の帰国を心待ちにしているようです。