「僕の人生は暗く、苦しみの連続でした。
それを苦いコーヒーに例えるとしたら、それを和らげてくれるのがミルクなんです。
ママンが好きだったカフェ・オ・レ。
僕とミルクは正にカフェ・オ・レの関係なんだ。
二つがそろって意味がある。
二つがそろってはじめて味が完成するんです。
知っていますか?
コーヒーとミルクの割合は1対1がベスト。
それが丁度良い頃合いなんです。
ミルクが多くてもコーヒーの香りを損なうし、コーヒーが多くても苦すぎる。
だから僕たちの関係も、対等じゃなけりゃならない。
愛とか憎しみとか、そんなもの糞食らえだ。
ミルクがいればそれでいい。
それだけで十分なんです。
僕はそれがやっとわかりました。
だから……、僕はミルクに会いに行く」



