そこには、怯えるように殻に籠った、かつての傷ついた聖夜の姿はなかった。
精悍に整えられた短い髪の下には、自信に満ちた逞しい青年の顔があった。
何度となく繰り返された整形手術のお陰で、顔の傷は綺麗に消えていた。
母親譲りの彫りの深い顔立ちと青みがかったグレーの瞳が、聖夜を誰よりも印象深く魅せていた。
樹のトレーニング指導のお陰で、ボルトで支えた身体の傷は逞しい筋肉で覆われ、もう聖夜は誰の助けも借りることなく、一人で何でもこなすことが出来た。
誰よりも速く走り、力強く動くことが出来た。
弛まぬ努力によって、聖夜は人一倍健康な身体を手に入れることに成功していたのだ。



