「聖夜くん、力をぬいて」


聖夜の額に、暖かい手が触れた。


「力をぬいて、リラックスできるかな。

深く息を吸って、吐いて。そうだ。その調子だ。

君はいま、とても安心できる場所にいる。

誰も君を傷つけることはできない。

ここは、とても安全な場所だ」


聖夜の身体が長椅子に深く沈み、額の緊張がほぐれると、その閉じた瞳から涙が零れた。


(ミルク……)


声にならない、息が漏れた。


何故だかわからないが、心の箍が外れていくのがもどかしかった。