その瞬間、私の思考が停止して、時間までもが止まった気がした。 「失礼いたします。」 次々テーブルに懐石料理が運ばれていく中、私はフリーズしたまま。 「以上でございます。 ごゆっくりどうぞ」 マニュアル通りのセリフを言って襖が閉まった。 「稀未佳? 返事貰えないのか?」 「え……。」 目の前の隆が、おとぎ話しの王子様に見えていた。