謳う者


記憶喪失の彼女の唯一の記憶。
リーゼという名。
正確には記憶ではなく、記録だった。
傷だらけの体にもっていたナイフに掘られていた名がリーゼ。
確信はないがほかに呼ぶ名前もないのでそう村の住人達は呼んでいる。

「リーゼ!!」
村から家までの1本道に1人の少年が現れた。
背丈はリーザとあまりかわらず茶髪の長い髪を後ろで結んでいる。
「エリック、」
「おはよう、今日は買い物どうするの?」