店に近付き、ガラス越しの彼女に向かって、コンコンとガラスをノックした。 自分の世界に入り込んでいたのか、驚いたように俺を見ると、苦笑しながら、慌てて店を出てきた。 「随分、待たせた?」 時計を見ると待ち合わせの5分前。 「ううん、私が早過ぎたの。気にしないで。」 「そう?ため息ついてたから、遅刻したのかと思ったよ。 …じゃあ、そろそろ上映時間だから、行こうか?」 ため息の理由は、そんな事じゃない事くらい、分かっていたけど、そう言って、俺は彼女に手を差し延べた。