「ゆきは金髪だから怖がられるの!
美夢ちゃんに拒否られるの!」
…ズキン!
あぁ、めっちゃ心に今、グサッと刺さりましたよ。
「………」
「後藤優樹くん。君はこのまま、美夢ちゃんに拒否られたまま死んでもいいのかい?」
「死ぬ…って、大げさだろ…っ!」
「そのくらい大げさじゃなきゃ!ゆきぃ~~!」
「…………」
「あのさ…この『目指せ!黒髪男子!黒は男を引き立たせる!Let's黒染め~カモミールの香り』はタダじゃないのよ!?
ドラッグストアでこれを買ってきた、アタシの心境わかってますか!?!?
沢山の試練や苦悩を乗り越えて、この『目指せ!黒髪男子!黒は男を引き立たせる…略』は今、ここにあるのよ!」
「……は?」
試練や苦悩?…やっぱ大げさだ。
「ゆきには分からないでしょ!
コレを買うため、レジに向かったとき…
店員さんに『これ男性用ですがよろしいですか?』って訊かれたんだからね!!!
『はい』って言ったときの店員さんの奇異の眼差しといったらなかったよ、全く!」
た、たしかに…恥ずかしいね。
試練や苦悩ですね。

