嘘…
「人違いじゃなくて?」
「当たり前やんけっ」
陸はあたしの隣に腰を下ろして
タバコに火をつけた。
「あ、タバコ、吸うけど平気?」
「うん大丈夫」
陸は煙を肺の奥に貯めて
ゆっくりと吐き出した。
「早紀は俺を見てないかもな〜
中学の時やけど。」
「中学?うちら別の中学やん?」
「俺のフルネーム、言ってなかったよな。
“伊藤陸”聞いた事ねぇ?」
いとう…りく…
「あっ!!」
伊藤陸って言えばこのあたりじゃ
一番有名なタメのヤンキー。
あたしも昔はヤンキーや族とかと絡みが少しあった。
あのころは荒れてたから。
でもまさか…あの伊藤陸が…?!
「…会ったことあるね。顔、見たことはなかったけど」
「やろっ?!早紀、金パだったし」
「なっ!」
「よう知っとるやろ〜」
ひひひっと陸は笑う。
「最近、名前聞かなくなってたから全然…」
「こんな良い奴やと思わんかったやろ〜?」
「ば、馬鹿じゃんっ」
「あはは☆」
あたしはため息をつく。
まさか陸が…
「今日吐いてたのも、ヤった後やな。」
「解るんだ?」
「まぁな〜」
