JUNKー衝動ー

理解するのに時間がかかった。

理解した瞬間、目の前がぐらりと揺れた。




(……………血?!)


よくよく見ると赤と白のワンピースだと思っていたのも、白の生地に血が染まっているのだと分かった。

少女の周りの水溜まりも心なしか赤い。



そしてこの手を染めるのも。



――そう。血だ。

…これだけの血を流しているんだ、早くしないとこの娘は、死ぬだろう―――


頭の大半はパニクってるのに一部は異常に冷静だ。

その残った冷静さが早くしろ、と言っている。




俺は少女を担ぎ上げた。

思っていたより少女は軽く、それが弱々しさを倍増させた。

血に染まり、雨を吸ったワンピースが髪やら服やらを濡らすがこの際、気にしていられない。






そこで、ある事に思い当たった。




…何処へ行けば良いのか分からない。


いや、病院なり家なり、手当ての出来る場所へ行けば良いことは分かっている。


が、家に連れても俺が看病なんて出来ない。
病院にしても、こんな街だ。
…ロクな話を聞いた事がない。



チッ、と舌打ちした。

……情けない話だ。
人一人救えないなんて。
俺は何時までもこうなのか。

例え、気づいても手をさしのべも、言葉をかけることも出来ないままで。

…最悪だね。


…ガラにもなく必死になっていた。

どうしたら救うことが出来るのか。
どうしたら助けることが出来るのか。










『頼ってくれても構わんぞー』






……そこまで考えていて思い出した。


……ヤナセ。

(…ヤナセの所行くか…?)


第一印象が悪かった為に正直、あんな奴に頼ったりはしたくない。
こんな案、今すぐ却下したい。



…だけどアイツに頼るしか彼女を救う手段は無いだろう。