JUNKー衝動ー

ぴたり、と足を止める。


“街灯の下に人がいる”
別にそれ自体はおかしい事はない。





問題は―――――




その人が、うつ伏せに倒れていることだ。



(おいおい…。行き倒れかよ…)


ホームレスかと思い、とりあえず近づきながら、声をかけてみる。



「…おい、大丈夫か?」

いや、大丈夫じゃないから倒れてんだろうが。


だんだん近づいていくと“人”は少女だとわかった。



とうとう、こんな女の子までホームレスになるような時代になってしまったか、と憂いてみたが、ふと違和感を感じた。



――格好が割りと綺麗なのだ。



理由は知らないが、行き倒れになるぐらいの生活をしていたら、服にしろ、髪にしろ、汚れたりしている筈だ。




だが、彼女にそれは当てはまらない。



黒髪には艶があり、さらさらとしているのが、少し離れていても分かる。


赤と白のワンピースらしい服はこの雨のせいで多少汚れてはいるが、それほどではない。



ホームレスではない。



なら、

(…何故………?)



理由が分からなかった。

大体、道端で倒れてる奴なんて初めて見た。

こんな街でも、毎日毎日、行き倒れはいない筈だ。

…多分。