薄暗い中に一本の長い階段。俺たちはその上を一段一段噛み締めながら下りて行った。

やがて見えてきたものは、大きな広間だった。



ピーンと張り詰めた緊張と静寂。


コツコツコツ……


俺たちは広間の真ん中までゆっくりと歩いていく。

「油断は禁物よ」

「わ〜ってるって」

どこにいるんだ、龍崎!





「どうも騒がしいと思ったら……君たちか。僕に用でもあるわけ?」

「……龍崎」

タバコをふかしながら現れた一人の男。
その様子はまるで余裕さえも感じる。

「あんたねぇ!自分のやったこと分かってるの!」

「フフフ……そんな恐い顔してちゃ、せっかくのかわいい顔も台無しだな」

「大きなお世話よ!」



コツコツコツ……



「決めた!」

「!?」



彼女に近づいていく龍崎。その姿は獲物を狙って接近する猛獣のように──

「逃げろ!妃奈ぁ〜!」