「この先にヤツがいるのか……」

俺はゴクっと唾を飲んだ。普段、意識したことのない音がこの静寂の闇に吸い込まれてゆく。

「新太郎……」

「?」



「仕事終わったら太陽軒のラーメン食べにいこ」

「ああ」

「もちろん!新太郎のおごりね」



「お前なぁ……」

いつもの何気ない会話がとても懐かしく感じる。
こんな時だからこそ、かもしれないが。