「私のこと、……好きじゃないの？」

「何でそうなる」

「じゃあ、……好き？」

「だから、言わなくても分かるだろ」

「……………」


……言ってよ！


むむ、と眉を寄せるけど、久世玲人はフイッと視線をそらす。


何でっ…、何で、言ってくれないのっ…!?

今まで、「好き」の2文字よりも散々すごいことを言われた気がする。散々すごいことをされた気がする。

つい、さっきまで。



「何でっ、言ってくれないのっ…？」

「………そんな簡単に言えるかよ」


そんなっ！私にはあんなにいっぱい言わせたのに…！

一回も言ってくれないのっ…？


あまりにも理不尽すぎて、じんわりと涙が浮かんだ。


「言ってくれなきゃっ、……ちゃんと、言葉にしてくれなきゃ分かんないっ…」

「………分かれよ」

「ちゃんと言ってくれなきゃっ…、自信が持てないっ…」

「……………」

「聞きたいっ…」

「……………」


久世玲人は、困ったように眉を寄せながらグっと言葉に詰まっている。口を固く閉じたまま、なかなか開こうとしない。

………そんなにイヤなわけ？そんなに私ってワガママ？


「久世く――」

「ああっもうっ、分かったってっ!!」

「…え、」

「言えばいいんだろっ!!ったく…」


まるで逆ギレかのように荒っぽく言い放ち、そして、不本意そうな表情で乱暴に私の肩を引き、耳元に顔を寄せた。