心臓が掴まれたようにギュッと苦しくなり、イヤな焦りが広がる。


久世玲人に、大きな誤解を与えている。

私が、佐山君に想いを寄せているのだと…。

……いや、あの場面だけを見たら、誤解だとは思わないかもしれないけど。


とにかく、誤解を解かないとっ…!!


「あれはっ、違うのっ…!」

「違う?キスして、抱き合ってたのが、一体何が違うって言うんだよ」

必死に誤解を解こうとする私を、久世玲人は不信そうに眉を寄せながら見下ろす。


「抱き合って…!?それは違うっ…!そりゃ、キ、キスされたのは事実だけどっ…」

「……やっぱしてんじゃん」

「ち、違うっ…!!した、じゃなくて、されたのっ…!それも不意打ちっていうかっ…」


どう言えば分かってもらえるのか、誤解が解けるのか。

口下手な私には、ちゃんと説明することが難しい。


「どっちにしろ、キスされる状況を作ったってことだろ」

「そ、そんなことっ…!!」

「受け入れたのは事実だろ」

「違うっ…!とにかくっ、聞いてっ…!」

そう冷たく言い放つ久世玲人に、必死に縋った。押し倒されたままのこの状況すら、気にする余裕もない。


「聞いてよっ…、あれは、違うのっ…」

「わざわざ聞きたくねえよ…他の男との話なんて」

「いいから聞いてよっ…!!」


いつになく譲らない私に、久世玲人の眉間のシワがグッと深まる。ムカムカとしたオーラが漂っており、いかにも、不快感丸出しといった感じだ。