窓から差しこむ茜色の夕陽が、部屋の中を赤く染めていく。

しん、と静まり返る2人きりのこの部屋で、私のしゃくり上げる声だけが響いていた。


久世玲人は何も言わないまま、私に視線を向けている。その表情は、やはり何を考えているのか読み取れない。

ただ、不機嫌そうなのはあきらかだった。



………もう、帰った方がいいのかも…。

聞きたいことは聞けなかったけど…、たぶんきっと、これ以上は聞けない気がする。


健司には悪いけど、やはり私には何もできなかった。怒らせただけ。


……でも、これで、いい加減私の想いを終わらせることができるかもしれない。


…もう、帰ろう…。


そう思って立ち上がろうとしたその時―――。




久世玲人が静かに立ち上がり、こちらに歩み寄ってきた。


何……?


立ち上がるタイミングを失った。

その姿を見つめていると、久世玲人は座っている私の前に立ちはだかり、やや怒ったような表情で見据えてくる。


「な、なに…?」

「何で分かんねえんだよ…」

「え……」

「――――…だったら、教えてやるよ…」


そう言って久世玲人は手を伸ばし、私の体をドサッとソファへ押し倒した。


「きゃっ…」

突然の出来事で驚いた瞬間、久世玲人はソファへ乗り上げ、馬乗りになって私を見下ろした。



「教えてやるよ。俺が何を考えてるか」