久世玲人と別れて、約一ヶ月が経過した。

私たちが別れたという噂は徐々に校内に広がっているようで、「やっぱりな」という声があちこちから上がった。

別れた直後から、久世玲人にアプローチする女の子が急増したとも聞く。



一ヶ月も経てば、自然と傷も癒えて……、いや、全然癒えていないかも。

ある意味失恋に近い。

解放してやる、って、まるで私のために言っていたようにも聞こえたけど、関わらない、と言われた。

私には、関わらないと。

何が私のためと思えようか。


今考えたら、本当に、聞きたいことは山ほどあった。



今までの、あの優しさは何だったの?

俺から離れるなって言った、あの言葉の意味は何だったの?

慈しむように触れてきた、あのキスの意味は何だったの?

今までの時間は、全部嘘だったの?


――――少しは、私のこと、好きだった…?


あの時はショックで何も言えず、久世玲人の言葉が勝手に進んでいくだけだった。

もちろん、泣いて縋るなんてこともできなかった。ただ、呆然としていただけ。

言われるままに、淡々と別れ話が進んでいった。



いつわりの関係のままでいることは苦しかったけど。

いつかはこうなると分かっていたけど、できることなら、いつわりの関係でも続けていたかったのかもしれない。