『原田さーん!校内にいたら出て来てくださーい!』

『もしかして、久世君と一緒にいるんですかねー』

さっきの久世玲人と同じ状況だ。

私を呼び出す司会の声が響く中おろおろと1人焦っていると、突然、久世玲人に腕を引き寄せられた。



――――!!


ヒュッと、思わず息を飲んで固まった。

久世玲人の腕が前にまわり、ぎゅう、とうしろから抱き締められている。


ど、どうしよう…!!こんな状況っ…!!

心臓がっ…飛び出るっ……!!

先ほどの8位に選ばれた衝撃より、今、この抱き締められている状況の方が私には耐えがたい。


「菜都、やっぱり帰るぞ」

プルプルと小刻みに震えていると、頭上から、やっぱりまだ不機嫌そうな声が響いてきた。

何でそんなに機嫌が……ていうか、帰るって!?

ななな何でそんなことになるのっ…


「やややっ…久世君っ…ちょ、ちょっと待っ…!!」

「何コーフンしてんだよ。選ばれて嬉しいわけ?」

「違っ…!!そうじゃなくてっ…!!」

「つーか、いつからこんなことになってんだよ」

「し、知らないっ…」

「8位って何だよ、8位って」

「だっ、だから知らないって…」

1位の男に何でこんなに責められなきゃいけないのか…

いや、それよりこの腕を早く離してもらわないと…!!

身がもたないよっ…


なんとか離れようと腕の中で身を捩るけど、ますますギュッ…と抱き締められた。