「………一緒じゃない」

ポツリと答えると、久世玲人は「ならいい」とそれ以上は何も言ってこなかった。

何でそんなことを聞いてきたのか分からないけど…。


佐山君のことも、どうにかしないといけない。

久世玲人との関係が変わらないように、あれから佐山君とも何も話せていない。

私たちが噂されて以来、教室では話し掛けづらいし、佐山君にも避けられているような気がしている。

微妙に気まずい。

もちろん、佐山君に告白されたことも、怪しいと噂をされたことも、久世玲人には言っていない。

一人で、どうにかしなきゃ…。佐山君とも、いい加減話しをしないと…。



深く考え込んでいると、久世玲人はまたあくびをしながら立ち上がり、「菜都」と私に向いた。


「文化祭の日、仕事はすぐ終わるのか?」

「えっ!?あ、うん…私は午前中だけだから、あとは自由だけど…」

「じゃあ、終わるころ迎えに行くから、そのまま教室で待ってろ」

「え?迎えに…?」

「ああ。菜都の仕事が終わるまで、屋上で寝て待ってる」


それって、午後から一緒にいてくれるってことかな…?そうだとしたら、……ちょっと嬉しい。

久世玲人と、文化祭をまわれるかもしれない。


考えることが多すぎてあまり文化祭に熱が入っていなかったけど、少しだけ楽しみになってきた。