「なぁんだ、未遂か」

「つまんねー」

半泣き状態で必死に否定し続けた結果。

ようやく伝わったのか、2人はつまらなそうに呟いた。

……こいつらは、私の気持ちってものを考えないんだろうか。

ガックリとうなだれていると、泰造がまた懲りずに聞いてくる。

「なぁ、玲人、どうだった?」

「……は?」

「いやー、なっちゃん相手だと、あいつ絶対緊張してそうだし」


……どういう意味だ?

ケラケラと笑って言う泰造の言葉がよく分からないけど、でも…。


「………その割には、ずい分と手慣れてらっしゃいましたけど」

経験がないから分からないけど、あれは完全に慣れている。なんのためらいもなく、コトを進めていたように思う。

ぼそっ、と言い返すと、泰造はまた笑いながら言った。


「まぁ、数だけはこなしてるからな」


………。


その言葉で、過去の女性関係の多さを突きつけられたようで、ズキンと胸が痛くなる。

沈んだ表情が2人に伝わったのか、瞬間、泰造と陽は言い訳をし始めた。


「いやいやっ!昔!昔の話だって!今は一切ねえから!」

「そうそうっ!遊び!玲人本気になったことないしっ!えーっと、そう、体だけってやつ!」

体だけって…。

それを聞いて、余計複雑になった。

……もしかして、私もその中の1人になるところだった…?

急激に体温が下がっていく感覚に陥り、一気に手が冷たくなっていく。


ますます、ずーんと暗くなっていると、2人はさらに慌て出した。

「なっちゃんは他の女と違うって!」

「そうそう!第一、玲人が家に女を入れたのも、なっちゃんが初めてだしっ!」

「そうそう!つーか、まず家の場所を教えねえし!俺らの仲間でも知らねえ奴多いし!」


………。

それを聞いたところで、ああ良かった、なんて思えるはずがない。家に行ったのだって、自宅謹慎というのっぴきならない事情があったわけだし。


何も答えない私に2人はまだ何か言っていたけど、「……もういい」と遮り、足早に2人の前から立ち去った。