久世玲人に確かめたい。会って、話がしたい。

そう決意して早退したものの、久世玲人に何も連絡していない…。


会えなかったらどうしよう…。佐山君の優しさも水の泡だ。

勢いとはいえ、無計画すぎる…。


ど、どうしよう…。


そ、そうだ…!!とりあえず、電話だっ!!久世玲人と連絡とらなきゃ!!まずはそこから!

携帯を取り出し、電話帳から「久世玲人」を探した。


緊張するな…。

妙にドキドキしながらコールボタンを押すと、意外にもすぐ出てくれた。


『……菜都?どうした?』

ぅわぁ!出たっ!

何故だかすごくドキドキしてしまい、普通に声が出てこない。


『菜都?』

平日の昼間、本来なら授業中という時間のせいか、久世玲人の声は怪訝そう。



「あ、あのっ…久世君…!!あの…い、今から会える…?」

『………は?』

「あ、会いたくて…。会って、話がしたくて…」


理由も言わぬまま「会いたい」としか伝えてないせいか、電話の向こうでは何も反応がなく、無言が続いている。


「あ、あの…久世君?……ダメ?」

ダメなら出直すしかない…。

そう思っていると、久世玲人の声がようやく返ってきた。



『――――すぐに、行く』

「え?」

『今からすぐ、そっち行く。学校?』

「ええっ!?」


久世玲人がこっちに来るのっ!?